2024年11月29日金曜日

北村純一(高18回)著「西鶴二十面相」

 名張市在住の北村純一さんが「西鶴二十面相」を出版されました。



 著者から
 本のタイトルでもある『西鶴二十面相』は、奈良新聞に令和四年から五年にかけて六十三回連載した新聞小説です。「二十面相」は、名張市出身の推理小説作家・江戸川乱歩が創作した架空の大怪盗である「怪人二十面相」からとっています。これに、短編小説『若き日のマルクス夫妻とエンゲルス』を併載しました。

 『西鶴二十面相』は、令和四年一月出版の文春新書『伊賀の人・松尾芭蕉』の執筆に当たり、芭蕉と同時期に活躍した浮世草子作家・井原西鶴の諸文献に当たる必要に迫られたことが機縁になっています。
 浮世草子に専念した一時期を除き終生貫いた、俳諧師としての西鶴を中心に描きました。一面相「大阪の町人だった西鶴」から二十面相「人間を見尽くした西鶴」まで、様々な角度から、人間性豊かな西鶴の人物像を構成しています。そして、西鶴の松尾芭蕉評も顔をのぞかせます。
『若き日のマルクス夫妻とエンゲルス』は、『人新世の「資本論」』の著者斎藤幸平氏によってマルクスの復権が注目されている今、時宜を得たものと思っています。


<読んでみて>
 井原西鶴は「好色一代男」浮世絵草子の作者として知られているが、俳諧師であった。
西鶴は大阪、芭蕉は江戸で俳諧師として互いに大いに意識していた。
 西鶴は町人の奔放な矢数俳諧、芭蕉は武士の気質か幽玄・閑寂の趣き。加えて奇才の宝井其角。
 北村純一さんは、2018年に「芭蕉と其角」を発表、2022年には「伊賀の人・松尾芭蕉」、そして今回「西鶴二十面相」の出版となった。芭蕉を取り巻く3部作ともいえると思います。  <記;高18回 實守健介)